奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://naramed-hematology.jp開講し、輸血部から松本雅則先生が初代教授に就任しました。少数の医局員からスタートしましたが、毎年入局者を迎え現在10名のスタッフで白血病?リンパ腫?骨髄腫などの血液がんや再生不良性貧血?後天性血友病などの良性疾患などの入院?外来診療を行っています。また、輸血部所属の医師の協力を受け、血液内科単独で当直業務も行っています。研究では、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病態解明やその治療の開発を輸血部から継続しています。さらに、人工赤血球の医師主導治験を学内で実施する準備を行っています。地方大学の小さな講座が、学内の協力を得ながら大きなチャレンジをしています。近年の血液疾患治療に関して、CAR-T療法、二重特異的抗体薬など、これまでとは異なる作用機序で治療効果が高い新薬が毎年開発されています。このように血液内科は、治癒を目指せる疾患が多くなり、今後も進歩していく分野でやりがいのある分野となっています。誕生したばかりの血液内科学講座ですが、臨床?研究の両分野で今後も発展し続けられるように、医局スタッフとともに取り組んで参りたいと考えています。HPhttps://cid.naramed-u.ac.jp/福祉施設や地域社会における感染対策の支援にも取り組んでいます。また、感染症専門医の育成にも力を入れており、養成した専門医を地域の病院に派遣することで、感染症診療や感染対策のレベル向上に貢献することを目指しています。 当講座の理念は「人々が健康に暮らせるよう、最善の感染症診療と感染防止を提供する」こと、そして「そのために優れた感染症専門医を1人でも多く育成し、全国の感染症専門医育成機関のロールモデルとなる」ことです。この理念のもと、多面的かつ包括的な教育?指導を行い、専門性の高い医療人材の育成に努めています。 新設の講座であるため、まだまだ学ぶべきことも多く、試行錯誤を重ねながら成長している段階です。関係者の皆さまのお力添えをいただきながら、より良い形を模索し、感染症診療と感染対策を通じて地域や全国の医療に貢献できるよう、一歩ずつ前進してまいります。32血液内科学講座 開講記念講演会感染症内科学講座?同門会設立祝賀会(2023年12月)血液内科学講座 奈良医大血液内科講座は、2022年11月に開講した新しい講座です。ただ、その源流の歴史は古く、1980年旧第二内科学講座で西川潔先生が血液外来を開設されたことに始まります。1992年付属病院旧南二階病棟に無菌治療室を設置し、日本でも開始されたばかりの自家末梢血幹細胞移植を実施しました。1994年に同種血縁骨髄移植、2000年には骨髄バンクドナーから同種非血縁骨髄移植を開始し順調に発展して参りました。1999年に臍帯血バンクが設立され、HLA一致ドナーが見つからない患者や病勢が早く骨髄バンクドナーを待てない血液がん患者に対して、早く準備ができHLA完全一致でなくても移植できるメリットを生かし、2003年成人に対する臍帯血移植を行いました。以後、森井武志先生、天野逸人先生をグループをトップとして臍帯血移植を中心に造血幹細胞移植症例を積み重ね、2024年12月まで562件の移植(臍帯血206件、骨髄移植44件、末梢血幹細胞移植[同種52件、自家260件])を実施しています。その後2022年に血液内科学講座が 奈良県立医科大学における感染症診療?研究?教育の歩みは、(旧)第二内科の感染症グループに端を発します。2002年に世界を席巻した重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を契機に、感染症診療や感染対策を専門的に担う部門として、2003年に感染症センターが設立されました。以来、病院内の診療支援にとどまらず、地域社会に向けた情報発信や感染予防活動にも積極的に取り組んできました。 申博_申博手机版-平台官网感染症(COVID-19)の流行時には、診療や感染対策に加え、地域の医療機関や一般市民への支援を行い、広く社会に貢献しました。そして2023年10月、感染症センターはさらに発展し、「感染症内科学講座」として新たなスタートを切りました。SARSを契機に設立された感染症センターが、COVID-19を経て講座へと発展するに至ったことは、感染症診療の必要性が時代とともに変わらず求められ続けてきたことの証と受け止めています。 現在、当講座では、病院内の感染症診療や感染対策はもちろん、医学科:臨床医学教育 血液内科学教授/松本 雅則医学科:臨床医学教育 感染症内科学教授/笠原 敬

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