奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://oto.naramed-u.ac.jp/病棟と日本めまい平衡医学会での集合写真放射線診断?IVR学講座集合写真 当教室は1945年に倉田包雄先生が奈良県立医学専門学校の耳鼻咽喉科初代教授として開講され、続いて内海貞夫先生、1973年に山中泰輝先生、1980年に松永 喬先生、1999年から2014年3月末まで細井裕司先生が耳鼻咽喉?頭頸部外科学講座を、2014年5月から北原が六代目教授として着任し、現在に至ります。 80-90年代にかけての松永教室では、椎骨脳底動脈循環不全症のモデル動物を作成し、電気生理学的にその病態を明らかにしました。臨床的にも同疾患の診断基準案を提案するなどめまい平衡医学会をリードしてきました。 90年代から2013年までの細井教室では、軟素材による外耳道再建術の普及に尽力し、現在では多くの施設で取り入られています。研究分野では骨導超音波を用いた補聴器の開発や、耳軟骨に振動を与えることで良好な聞こえが得られる軟骨伝導を発見し、 軟骨伝導補聴器の礎を築きました。 2014年からの北原教室ではめまい、難聴、耳鳴における基礎と臨床の放射線診断?IVR学講座 放射線診断?IVR学講座(旧称 放射線医学教室)は、本学開学の4年後である1949年に設置され、昨年75周年を迎えました。長い歴史の中でも、特にこの10年間の発展は著しく、現在、教員?医員?大学院生を合わせた在籍医師数は40名にのぼります。 当講座は、画像診断とインターベンショナルラジオロジー(IVR)を担い、附属病院における診療体制の整備を進めてきました。IVR領域では、2014年にIVRセンター(初代センター長:吉川公彦前教授?現附属病院長)を設立し、画像診断領域では、2016年に総合画像診断センター(初代センター長:平井都始子前病院教授)を開設しました。IVRセンターでは、心臓血管領域を循環器内科が、脳血管領域を脳神経外科が担当し、それ以外のすべての領域を放射線科がカバーするという特色があります。この強みを活かし、他大学からの国内留学生も積極的に受け入れてきました。また、放射線科が担当するIVR症例数は年間2,000件以上にのぼり、全国トップ3に入る融合を目指し、精力的に研究と臨床をすすめてまいりました。めまいの分野ではめまい検査入院のシステム構築と内耳造影MRI検査によるメニエール病をはじめとしためまい疾患と内リンパ水腫との関係について、さらにはめまいのリハビリテーションについて多くの研究業績を報告しています。難聴については西村忠己病院教授を中心に軟骨伝導補聴器の実用化を達成し、今や全国の外耳道閉鎖症の症例に使用されるようになりました。耳鳴に関しては動物モデルを用いた耳鳴の実験系を確立しました。 また、頭頸部外科の分野では2015年1月より上村裕和病院教授(初代?外科マスター2017年授与)による技術でもって奈良医大を牽引しています。2022年には西日本で最初の睡眠時無呼吸に対する舌下神経刺激装置植込術を行いました。 開学70周年記念から10年が経ちますが、主任教授、病院教授2名、スタッフ8名、 医員6名、 大学院生2名が一丸となって、 めまい?難聴、そして頭頸部の分野において国内外に情報発信をしています。HPhttps://www.nara-radiology.com/実績を維持しています。さらに、放射線科が独自に病棟?外来で患者の術前?術後管理を行う体制を整えていることも、当講座の大きな特徴です。 総合画像診断センターでは、CT、MRI、PET/RI、超音波、消化管透視といった全モダリティの画像診断を担っており、全国的に見てもこのような包括的な診断体制を有する放射線医学講座は稀です。そのため、専攻医にも人気がある専門医プログラムとなっています。 放射線科領域の発展は目覚ましく、機器技術の進歩に伴い、CT、MRI、PETなどの画像検査で得られる情報量が飛躍的に増加しています。その結果、放射線診断医に求められる知識レベルは一層高度化しています。また、IVRにおいても症例の多様化?複雑化が進み、高度な技能が求められる時代となりました。今後も画像診断およびIVRは新技術の開発とともに発展し続けると考えられます。 私たちは、最先端の医療を常に意識し、魅力ある講座を維持できるよう研鑽を積んでまいります。40(講師/岡安 唯)医学科:臨床医学教育 耳鼻咽喉?頭頸部外科学教授/北原 糺医学科:臨床医学教育 放射線診断?IVR学教授/田中 利洋

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