奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://necm.naramed-u.ac.jp 救急医学が取り扱うもう一つの病態に多臓器不全があります。単一の臓器ではなく、生体内の複数の臓器の連関を考慮して重症病態を診療しています。高度救命救急センター集中治療室の入室患者は年間400例を超え、入室患者のAPACHE-IIスコアは平均23点と多くの重症例を診療しています。 さらに大きく変化する社会情勢を踏まえた円滑な救急搬送システムの運用も重要なテーマの一つです。奈良県では長年にわたり救急搬送がうまくいかない、という問題がありましたが、一つ一つ県内関係機関と協議を重ねることで大きく改善し、新型コロナ感染拡大期にあっても崩れることなく持ち堪えることができました。 これら日々の取組みを学術的に昇華させることも講座としての重要な仕事です。これまで多くの学術発表、論文誌上発表を積極的に行ってまいりました。公立大学初の救急医学講座として、今後もさらに発展していくよう、教室員一同取り組んでいます。HPhttps://general.naramed-u.ac.jp/ 平成28年には西尾教授が中心となり、奈良県の救急不応需率改善を目指して病院全体で土日ERを開始。これにより県内の不応需率は大幅に改善し、当科も多くのER診療を担当しています。 2018年からの新専門医制度では、「総合診療専門医」が新設され、従来の後期研修を基盤に専門医育成を開始、多くの入局者と専門医を輩出しています。学生教育では、医学部のコア?カリキュラムで総合診療の重要性が高まり、臨床実習が申博_申博手机版-平台官网6年から選択から必修となりました。 また、リウマチ?膠原病を担当し、整形外科と連携してリウマチセンターを運営。申博_申博手机版-平台官网4年からは在宅医療支援センターも運営しています。研究活動も積極的に推進し、教育?臨床?研究の各分野で総合診療の重要性はますます高まっています。 今後も患者さん、院内、地域から信頼される科として成長を続け、地域の医療に貢献してまいりたいと思います。42ハイブリッドER、ドクターカーそしてドクターヘリ2024年集合写真 本講座は平成元年に初代宮本誠司教授によって、公立大学初の救急医学講座として開講されました。1996年に救命救急センター、そして2002年に高度救命救急センターに認可されました。現在は救急医学会指導医認定施設の他、数多くの学会認定施設も取得し、救急科専門医のみならず、集中治療医や外傷専門医、熱傷専門医を育成しています。救急医療は各診療科の横断的部門として始まりましたが、近年は「救急医学」として発展しています。特に「緊急度」に基づいた診療スタイルが整い、いち早く救急患者に治療を始めることで予後改善に貢献しています。現在この診療スタイルは病院前診療として発展し、ドクターカーやドクターヘリが活躍しています。奈良医大のドクターカーは年間1000件の出動を超え、奈良県ドクターヘリは年間450件以上出動しています。申博_申博手机版-平台官网6年からは外来処置室、手術室、CT装置そして血管撮影装置が一つになった“ハイブリッドER”を運用し、これまで以上に早期の決定的治療が可能となりました。 総合医療学講座は平成11年に開設され、初代中野博教授が就任、平成12年に中村忍教授が継承し、平成21年に退任されました。その後、平成23年に西尾健治先生が准教授として着任、平成25年に教授に昇任し、申博_申博手机版-平台官网5年に退任。申博_申博手机版-平台官网6年からは吉本が教授を務めています。 平成24年に病棟を再開し、平成25年には日本プライマリ?ケア連合学会の家庭医療後期研修プログラムおよび平日内科ER診療を開始しました。 患者さんの話に耳を傾け、身体所見と病態生理を重視する診療を心掛け、患者さんの納得を大切にした「力強く患者さんに寄り添う医療」をモットーに、全人的かつ医学的に信頼される医療を目指しています。病床数も増加し、全国でも珍しい大学病院で外来?入院治療の両方を担う総合診療科として成長しました。診断や治療が困難な症例が地域や院内から多く紹介され、幅広い医療ニーズに対応しています。医学科:臨床医学教育 救急医学教授/福島 英賢医学科:臨床医学教育 総合医療学教授/吉本 清巳

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