奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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創立80周年まさにreborn奈良医大MESSAGE3 開学80周年および新キャンパスのオープン、誠に慶賀の至りです。おめでとう御座います。同窓会を代表いたしまして祝福を申し上げます。卒業生一同、母校の晴れ姿に感極まる境地かと思います。  日本全国に82の医学部があり、それぞれ切磋琢磨しつつ未踏の領域への到達を目指しています。この医学部の目標成就に影響する因子として、創立からの歴史が重要です。私が入学した昭和43年は、奈良医大がわずか創立23年の時で、歴史が浅く、自前の人材育成がまだ充分ではない時期でした。設備も建物もかなり見劣りし、これが医学部かと思われても仕方がない状況でした。しかしながら当時の奈良医大で働いている先生方は、奈良医大を良くしようとする気概に□れ、心意気高く、その情熱は学生にも伝わっておりました。その若き日々に受けた感化は、医師となってから母校の発展に寄与する精神的原動力となりました。 大学を語るとき、大学の「格」は重要ですが、大学にとって一番重要な評価基準は、そこに誰が居るかという事です。それゆえ周囲から特段の言葉で評価され、その道で手本になる様な“立派な”人材を引き付けておく必要があります。“立派な”人材を鋳型にして次の世代の“立派な”人材を育てるのです。“立派な”人材を引き付けるには、“立派な”人材が自らの発想で自由に活動できる設備を整える事が必要です。建物は立派であれば申し分ないのですが、建物は人材や設備に次ぐ三番目の項目です。 大学とは、真理を追求する場所です。その目的のために大学は、叡智ある人材を集めます。叡智と科学真理が存在の本質である高尚な場に、医学部という世俗的な場が設置されています。この理由として、医療という高度な学問を必要とする技術領域なら、叡智の集合体である大学に設置しておけば、うまく運営されるであろうと言う期待に基づきます。 それゆえ奈良医大が、これからも、大学本来の高尚な使命と医療という技術、この異質の二つを同時に担える場であり続ける事を期待しています。 新キャンパスは飛鳥時代にこの地にあった藤原京を連想させる外観です。中の設備には学習促進のための工夫がされています。かつての奈良医大を知る者にとっては驚愕であります。このような新キャンパス建設に多大なご尽力をいただいた教職員の皆様方に深く感謝を申し上げます。 今回の新キャンパスの完成は、手狭な本家の隣接地に広大な別宅ができたような状況です。この恵まれた環境をどのように活用するのか、それにはワン?キャンパスの時とは全く異なった発想が求められます。世の中の流れはキャンパスの統合による高効率化ですが、奈良医大はあえてセパレート?キャンパスにしたので大きく発展できた、そのような評価になる事を期待します。 奈良医大は過去80年にわたり優れた人材約6500人を世に送り出しました。我々同窓生こそ、その恩恵にあずかった幸福者です。自分に活躍の場を与えてくれた母校や社会への恩返しとして、ある者は医療に貢献し、ある者は医科学の発展に寄与し、ある者は行政で医療環境を向上させ、ある者は医学教育を通して次世代を育てています。これからも母校がこの「まほろば」の地に根付き、創立100周年の時に打ち立てるであろう金字塔を夢見ております。医学科同窓会 会長高橋 優三

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