奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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法人の組織法人の組織4年生授業風景未来のICT化された病院4年生では、 1) 自らの病の体験から医師の役割を考える。 2) 患者さんの体験談を聞く、質問する。 3) 教官からフィードバックを受け、議論する。5年生にかけては 4) 患者さんの病の体験を直接お伺いする。 5) 対話話録に基づいて議論する、講評をうける。 6) 先輩医師の診察や対話を観察記録し、学ぶべき点、疑問点を議論する。6年生では、 7) 病の体験史(個人史)を作成する 2020年度以降は新型コロナ感染症の影響で体験実習が不十分になったことが残念でした。そのような状況の中でも、卒業前には全員が病の体験史(個人史)を作成することができました。今後、病をもつ方一人一人の人生をサポートできる医師になっていただくことを願っております。地域医療?介護との情報連携を強化するため、医療従事者や関連実務者向けの研修プログラムを立ち上げ、関係者のスキル向上を図る予定です。 今後は、より多くの医療機関?教育機関?行政と連携し、実践的な研究と教育活動を戦略的に推進していきます。80年の歴史を持つ本学の伝統を継承しながら、新たな時代に適応する教育?研究を展開し、本講座の取り組みが次の100周年に向けた医療の発展に貢献できるよう努めてまいります。81医師?患者関係学講座の理念、目標と活動 奈良県立医科大学医師?患者関係学講座は2019年4月1日から2025年3月31日までの6年間、「“病をもつ人の痛みがわかる”医師を育てる」という命題のもと、教授 石井均、特任教授 皆藤章で活動いたしました。 医師-患者関係学では「医師が備えるべき能力」を以下のように定義しました。①医科学についての知識;サイエンスあるいは病気のcureの側面。②人間性(人間力);病をもつ人への共感力、公平性、温かさ、誠実さ、信頼性、関係を築く力、などの人間性。人間力あるいは病をもつ人のcareの側面。③技術と行動力:医学的知識(①)を人に適用する技術(例:身体所見をとる)、および病をもつ人の心身のケア(②)を実践していくためのコミュニケーション力、行動力;スキル、アートあるいは行動の側面。 これらのうち、医師‐患者関係学の授業及び実習では、②および③の獲得を目標としました。 本学は創立80周年を迎え、奈良県を中心に医学?医療の発展に貢献してきました。この歴史の中で、医療における情報技術の進展とデジタルトランスフォーメーション(DX)は不可欠な要素となり、持続可能な医療体制を支える基盤となっています。こうした時代の要請に応え、本講座は2024年4月に設立されました。 医療DXの推進、医療情報人材の育成、そして医療?介護連携の強化は、今後の医療の質の向上に欠かせません。本講座では、医療?介護施設におけるデジタル技術の開発?運用?現場実装について研究し、医療現場の効率化や患者中心の医療の実現を目指しています。また、医療情報技師をはじめとする医療情報分野の専門人材の育成にも注力し、次世代の医療を支える人材の輩出に取り組んでいます。 初年度である2024年には、医療DXの導入状況や医療情報人材の配置状況に関する調査を実施し、医療情報システムの安全管理や情報人材の不足といった課題を明確化しました。2025年度には、医師?患者関係学講座前教授/石井 均戦略的医療情報連携推進講座教授/玉本 哲郎

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